Accueil CD&DVD サン=サーンスの『フリネ』、ルーアンでレコーディング

サン=サーンスの『フリネ』、ルーアンでレコーディング

par Victoria Okada

How to Share With Just Friends

How to share with just friends.

Posted by Facebook on Friday, December 5, 2014

フロリー・ヴァリケットの録音風景。

ブル・ザーネは「座」制度をとっており、オペラやリサイタル、録音などに常連歌手を用いている。『フリネ』の録音には、その常連の中からテノールのシリル・デュボア Cyrille Dubois、バリトンのトマ・ドリエ Thomas Dolié、ソプラノのアナイス・コンスタン Anaïs Constansなどが参加。今回ブル・ザーネのプロジェクトに初参加の、急上昇中のカナダのソプラノ、フロリー・ヴァリケット Florie Valiquetteは、歌いっぷりが作品にぴったりとマッチし、高音域でヴォカリーズが入る場面では、ほとんどコロラトゥーラのような歌声で役柄によく馴染んでいた。声色も、他の登場人物の声色とよく調和している。

すでに述べたように、『フリネ』にはいくつか貴重な録音があるが、PBZの芸術監督アレクサンドル・ドラトヴィッキ Alexandre Dratwickiが選んだ版は今回が初録音だ。オリジナル版ではフランス語の台詞に近現代フランス詩でよく使われるアレクサンドラン Alexandrin(1行に6音綴の詩節が2つ入る12音綴)が用いされているが、初演の大成功によって外国での上演を目論んだ音楽出版社が、台詞の翻訳を容易にするためにこれらの詩韻を排除してより自由なレチタティーヴォに変更。そのレチタティーヴォはアンドレ・メサジェが作曲し、1909年8月に出版された。レチタティーヴォはサン=サーンスの音楽を決して歪めることなくぴったりと絡み合っている上、元の音楽に豊かさを加えているという。ドラトヴィッキ氏によると、今のところフランスではこの版で上演された記録が見つかっておらず(外国語翻訳版では上演されている)、今回の録音がフランス初演となる可能性が強いとのこと。

Joseph-Paul Blanc (1846-1904) : Phryné (© ドラトヴィッキ氏提供)

ブル・ザーネの専門家たちの研究成果を踏まえ、音楽学的にも興味が尽きないこの版を選択したことは、まだまだ全貌が明かされていないサン=サーンスの音楽に、さらに光を当てる手助けとなることだろう。

2021年3月31日、14時〜17時、ルーアン・ノルマンディー歌劇場。

*****

パラゼット・ブル・ザーネでは、サン=サーンス没後100周年を中心にすえた今シーズンのプログラムに、『フリネ』のコンサート形式での上演を予定している。日程は次のとおり。
6月24日20時 ルーヴル美術館オーディトリウム
7月3日18時 ルーアン・ノルマンディー歌劇場。
CDは、2022年初頭にブル・ザーネ・レーベルからリリース予定。

* オペラ・コミックとは、歌唱(オペラ)と台詞(コミック)が交互に登場するフランスオペラの一ジャンル。コミカルなオペラという意味ではない。その淵源は18世紀に遡り、オペレッタや現代のミュージカルに受け継がれている。

フランス語版の『フリネ』録音レポートはTouteLaCulture.comに掲載。

Print Friendly, PDF & Email

Articles liés

Laisser un commentaire

CAPTCHA


Ce site web utilise des cookies pour améliorer votre expérience. En poursuivant votre navigation sur le site, vous acceptez les cookies. Accepter