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電車の中でバロックコンサート

「Concerts d’Automne」音楽祭とバロックアンサンブル「I Gemelli 」

par Victoria Okada

10月4日、パリとロワール地方の中心都市トゥールを結ぶ地方線の電車の中で、バロック音楽のアンサンブル I Gemelli が2回のバロック音楽のミニコンサートを開催。声楽のソロやデュエット、ヴィオラ・ダ・ガンバやギターの独奏などを演奏した。

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コンサートは、トゥールで毎秋行われている音楽祭「Concerts d’Automne(コンセール・ドトンヌ)」とSNCF(フランス国鉄)のイニシアチブで行われた。17世紀の声楽レパートリーを専門とする I Gemelli アンサンブルは、10月14日に同音楽祭に登場し、トゥール大劇場でモンテヴェルディのオペラ『ウリッセの祖国への帰還』をコンサート形式で上演する。ちなみに音楽祭の今年の開催期間は10月13日から22日まで。

10月4日17時38分パリ・オーステルリッツ駅発トゥール行きの急行電車の第3号車。発車15分ほど前に電車に乗り込むと、すでにアンサンブルを主催するテノールのエミリアノ・ゴンザレス=トロ Emiliano Gonzalez Toro と仲間の歌手や音楽家が数人、車両の一角に陣取って、ウォーミングアップやチューニングをしている。テレビやラジオなどのメディアも取材のために席で待機していた。車内アナウンスでは何度か「3号車でバロック音楽のコンサートが行われます」と予告。
発車してしばらくして、ゴンザレス=トロ氏が1回目のコンサートの前口上を述べ、バロックギターにのって陽気なイタリア語の歌を歌い始めた。『ウリッセの祖国への帰還』にちなんで、このオペラと同時代の曲を集めたようだ。中には、オペラからの抜粋の二重唱もある。1回15分程度の短いものだが、曲が終わるごとに、大きな拍手に加えて、ブラヴォーと口笛が飛び交う。

 

Concerts d’Automne音楽祭の音楽監督アレッサンドロ・ディ・プロフィーオ Alessandro Di Profio 氏は、クラシックやバロック音楽をより広く人々に知ってもらおうと、この企画を練ったと語る。
ゴンザレス=トロ氏は、あるラジオのインタビューで、このような特別な企画は音楽家たちにとっても良い思い出になるだけでなく、結束を固める機会となる、と答えていた。揺れる電車の中での演奏は演奏会場でのコンサートとはまた別の難しさがあるが、今回の企画には皆満足しており、参加できなかった音楽家も次回はぜひ参加したいと希望しているという。

SNCFトゥール地方線によると、これからもコンサートは続けていく予定で、同様の別の企画も検討中ということだ。

I Gemelli はつい最近、独自レーベル I Gemelli Factory からモンテヴェルディの『ウリッセの祖国への帰還』の録音をリリースしたばかり。豪華な装丁のCD-Bookで、すでに好批評を得ている。(上のリンクからサンプル音源を試聴できる。)

 

Photos © Remi Angeli  写真の無断転載を禁じます。

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