Accueil レヴュー舞台コンサート クラウス・マケラ、パリ管でフランス音楽を振る

クラウス・マケラ、パリ管でフランス音楽を振る

par Victoria Okada

2021年9月からパリ管弦楽団 Orchestre de Paris の音楽監督に就任することが決まっているクラウス・マケラ Klaus Mäkelä。1996年フィンランド生まれでもともとチェリストの彼は、その豊かな才能ですでにパリの音楽愛好家のお気に入りとなっている。
1月20日の無観客演奏会*では、パリ管にデビューの予定だったリュドヴィック・モルロ Ludovic Morlot(シアトル交響楽団の名誉指揮者、中華青少年交響楽団の創立メンバーで音楽監督、BBCフィルハーモニックのアソシエイト・アーティスト)がアメリカから渡航できなくなり、マケラが代役で登場した。

成熟したマケラの指揮

マケラの指揮は、丹念な構築力とその場での即興性がよくマッチしており、毎回コンサート終了後の後味が非常にいい。この日のプログラムは「ブーレーズ音楽祭」の一環で、ブーレーズの曲が2曲入っている。もともと組まれていたドビュッシーの『沈める寺』をメシアンの『忘れられた捧げもの』に変更して行われた。プレス用に変更の通知を受け取ったのが1月15日、コンサートの5日前だった。短い準備期間でこれだけ素晴らしい出来にまで仕上げたことは、オケとの相性の良さを物語って余りある。

最初の金管7重奏のためのブーレーズの『イニシアル Initiale 』は、傑出したパリ管の金管セクションの力量が存分に発揮された演奏だった。
パリ管は最近音色がよりふくよかになったと感じるが、無観客の空のホールで聴くのと何か関係があるのだろうか。『忘れられた捧げもの』では、細やかな絹のような弦の音色が傑出した音のテクスチュアを作り出し、メシアン独特の和声を、撫でるように、かつ深い思いに浸るように進めていく。管楽器と打楽器が入る「罪」と題された中間部では、さまざまな音色が火花のように炸裂する。そのコントラストは全く見事だ。最後の部分ではメシアン作品の全体を貫く「祈り」が伝わってくる好演だ。

*フランスは劇場やコンサートホールは閉鎖されているが、テレビやインターネットでの放映やラジオ番組などは行うことができる。パリ管は、通常、同一プログラムの演奏会を水曜日と木曜日に2回行うところを、ライブ中継で1回だけ行なっている(リプレイあり)。コンサートは通常17時または18時から行われ、配信は20時30分からとなっている。曲目によって必要な舞台配置変更の時間などを短縮する以外は、収録したものに手を入れずにそのまま配信している。

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