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シャンティイー城の室内楽音楽祭 その1

マルタ・アルゲリッチを迎えて 

par Victoria Okada
池側から見たシャンティイー城

フランス王家ゆかりのシャンティイー城で、昨年から室内楽の音楽祭が行われている。今年は9月末から10月はじめに、3日間にわたって開催れた。
この音楽祭を2回に分けてレポートする。第1回はシャンティイーについて。

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フランス王家ゆかりのシャンティイー城

シャンティイー城をご存知だろうか。パリから北へ車で1時間足らずの所にあるフランス王家ゆかりの城で、最初に建築されたのが14世紀半ば。その後、建築、改装・増築を重ね、現在の形になったのが19世紀終わりだ。
のちにヴェルサイユの庭師として壮大な庭園を建造したル・ノートル Le Nôtre は、ここに大運河やフランス風庭園を造営して確固たる名声を築いた。
18世紀半ばには、城主コンデ公が王ルイ14世を迎えて開催した祝祭で、宴席を取り仕切っていた料理人フランソワ・ヴァテル François Vatel という人物が、仕入れた魚が届かなかった為に自殺したという有名な逸話がある。これはジェラール・ドパルデュー Gérard Depardieu 主演で映画『宮廷料理人ヴァテール』(なぜ名前が「ヴァテール」と長音になっているのか理解に苦しむが)にもなっているので、ご存知の方もいるかもしれない。
また、シャンティイー城内にある美術館には、ルーブルの次に重要な絵画コレクションを擁しており、とくにオマール公爵アンリ・ドルレアン(1822〜1897)のポートレートギャラリーは門外不出のコレクションとして世界に知られている。

 

レ・ク・ド・クール・ア・シャンティイー Les Coup de cœur à Chantilly

そんな歴史あるこの城で、昨年から「レ・ク・ド・クール・ア・シャンティイー Les Coups à cœur à Chantilly 」という室内楽の音楽祭が開かれている。訳せば「シャンティイーのお気に入り」などとなるだろうか。
音楽監督はピアニストのイド・バル=シャイ Iddo Bar-Shaï。2020年に第1回を開催する予定だったが、新コロナウィルス対策に伴う劇場など文化施設の封鎖で叶わなかった。昨年2021年に行われた第1回は、6月に限られた聴衆だけに場を公開しつつ、ネット配信で開催された。昨年はマルタ・アルゲリッチ Martha Argerich が80歳を迎えたことから、これをどうしても祝いたいというバルシャイの思いにより開催された。

 

マルタ・アルゲリッチと仲間たち

そして今年は、10月の最初の3日間、昨年に引き続きマルタ・アルゲリッチをメインアーティストに迎え、彼女の家族や彼女と親しいアーティストたちが共演。家族では娘のヴィオラ奏者リダ・チェン=アルゲリッチ Lida Chen Argerich、その息子(マルタ・アルゲリッチの孫)でピアニストのダヴィッド・チェン David Chen (14歳)、アルゲリッチのもう一人の娘アニー・デュトワ Annie Dutoit。仲間では元夫でピアニストのスティーヴン・コヴァセヴィッチ Stephen Kovacevich、チェリストのミッシャ・マイスキー Micha Maisky、次の世代以降ではヴァイオリンのテディ・パパヴラミ Tedi Papavrami、ピアノの海老彰子と児玉桃、ヴァイオリンのルノー・カピュソン Renaud Capuçon、チェロのエドガー・モロー Edgard Moreau などの顔が並ぶ。一番若い世代ではダヴィッド・チェンと同年のピアニスト、アリエル・ベック Arielle Beckもいる。全員が3日間通じて出演するわけではなく、その日によって変わるのだが、名前を見るだけでわかるように、どの日を取っても質の高い演奏を聴くことができる。

筆者は最終日10月2日の二つのコンサートを聴いた。次回はそのレビューを紹介する。

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