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トゥールーズのフランス=ロシア音楽祭

par Victoria Okada

この記事のフランス語版は3月27日付けでCrescendoMagazine.beに掲載されています。

4月3日まで、第3回「フランス=ロシア音楽祭」がトゥールーズのアール・オ・グラン Halle aux Grains* で開催されている。
トゥガン・ソヒエフが芸術監督となって2019年に創設されたこの音楽祭は、翌年、新コロナウィルス拡大の影響で期間を短縮。今年はプログラムを予定より大幅に軽減し、デジタル版にすることで開催を維持した。メインは、トゥールーズ国立キャピトル管弦楽団 Orchestre National de Capitole de Toulouse (ONCT) の4つのコンサート。YouTube, FacebookLive, Medici.tv を中心に、インターネット配信される。他にも、女性指揮者を対象とした「ラ・マエストラ」コンクールとフィルハーモニー・ド・パリとのパートナーシップによる、トゥガン・ソヒエフ氏とサブリエ・ベキロワ氏が率いる指揮アカデミーや、各界の著名人による仏露関係についてのトークなども行われている。これらのイベントはリプレイで視聴可能。

3月19日、アール・オ・グランで行われたONCTのコンサートを聴く機会を得た。ピアノやハープシコード奏者でもある若き指揮者マキシム・エメリヤニチェフ Maxim Emelyanychev は、プロコフィエフ、アタイール、チャイコフスキーというプログラムをタクトなしで指揮。交響曲第1番 ニ長調 作品25「古典」は、通常は軽快でギャラントなイメージが強調されるが、これをエメリヤニチェフは、エネルギーにあふれる至極ダイナミックな作品としてとらえ直している。心地よい軽さの代わりに、各楽章から音を最大限に引き出し、速い楽章ではまるで憑かれたような音への執着さえ感じられる。全体的に、多くの指揮者が普通に設定するテンポよりもずっと速い。実際のところ、私が知っている中では最速だ。第3楽章では、極めて明確なアーティキュレーションが特徴的。一つ一つの音をこれでもかというくらいはっきりと「発音」させ、それは時には音をある形に刻むかのように聴こえるほどだ。この楽章には「ガボット」と表示されているが、宮廷の優雅な舞踏音楽というレファレンスを通り越した大胆な解釈だろう。楽章の最後の方のクレッシェンドは、フルートをはじめとして、花火が打ち上げられるようなまっすぐな勢いで演奏する。フィナーレは非常にリズミカルだが、ベンジャミン・アタイールの世界初演作品にもこのリズム感を見出すことができる。

Aylen Pritchin © Patrice Nin

しかしアタイール作品の前に、アイレン・プリチン Aylen Pritchin がプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番を披露した。彼は2014年のロン・ティボー国際音楽コンクールで第1位、2019年のチャイコフスキー国際音楽コンクールで第4位と聴衆賞・プレス賞を受賞。ロシアの優れた伝統を受け継いだヴァイオリニストだ。音は豊かでおおらかだが、必要ならば、荒い、野生的なの音も自由に鳴らす。第2楽章で聴かせた美しいラインは、ロマン派的なものをはるかに超えており、若さの中に成熟した快活さを保っている。そして、一見かけ離れたテーマやモチーフに一貫性を与えている。

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