10月末からの外出制限が徐々に解除されつつあるフランスで、12月15日から再開する予定だった劇場、映画館、コンサートホールは、閉じた密な空間なためウィルスの伝播が促進されやすいという理由で、結局3週間延長して閉鎖されることになりました。
政府がこの決定をしたのは12月10日。これとほとんど同時に、フィルハーモニー・ド・パリの大ホールの空気の動きを3Dでシミュレーションする映像が公開されました。その結果、感染のリスクは限りなく0に近いということがわかったそうです。
まず、大ホールでの全体的な空気の移動を仮想した画像です。
次に、同じホール内の座席で、マスクなし、マスクをきちんとつけていない場合、マスクをしっかりつけている場合の飛沫の飛び方のシミュレーションはこちらです。
そしてこれはやはり同ホールの座席で、通常の空調システム(左)と空気の広がりを抑えた空調システム(右)を使った場合の様子。
説明によると、ホール内の空気は常に上(バルコニー)から下(1階席)の方向に流れ、横向きの動きはほとんど認められません。降りてきた空気は舞台の手前から天井に位置する排気孔に再上昇していきます。また、通気システムの送風速度は一時間に1km以下で、粒子の移動が最低限に抑えられるような空気の動きが保たれています。結論として「ホール内の空気は屋外と同様の動きを見せている」ということです。
フィルハーモニーのサイトに詳細が掲載されています。
このシミュレーションを行ったのは航空・防衛産業で有名なダッソー・システムという会社で、3Dシステムでも名を馳せており、パリの歴史を先史から現在までたどる3D動画(DVD)なども製作しています。空気の動きを調べて3D動画にするのはお手のものというわけです。
このような科学的なリサーチを元に、劇場の再開を検討していただきたいものです。