Accueil 仏・欧州音楽事情 ノートルダム大聖堂の大オルガン パイプ取り外しが終了

ノートルダム大聖堂の大オルガン パイプ取り外しが終了

par Victoria Okada

パリのノートルダム大聖堂 Cathédrale Notre-Dame de Paris が燃え、中世の建設時から残っていた「森」と呼ばれる屋根組みが消失してすでに1年半。大オルガンは奇跡的に災を免れましたが、8000本ものパイプは、火災時の高温や2019年夏の猛暑、さらに焼けた鉛の灰や埃による被害に静かに耐えていました。昨12月9日、修復のためにとり外されたパイプが安全な場所に移動されました。

パイプの取り外し作業 © Christian Lutz / Etablissement public chargé de la restauration de Notre Dame

115ものストップを有するノートルダムのパイプオルガンは、パリのレアール地区にあるサン・トゥスタッシュ(聖ウスタッシュ)教会 Eglise Saint-Eustacheとともにフランスで最大の規模を誇ります。現在の形で設置されたのが1733年、50年後の1783年に有名なオルガン製造者クリコ  Cliquot が、1868年にはやはり著名な製造者カヴァイエ=コル Cavaillé-Coll が再構築しました。2019年4月15日月曜日の火災まで、公式オルガニストによるリサイタルが毎週土曜日の夜に行われていました。

ノートル・ダム大聖堂にはオルガンが3台あり、そのうち1台は焼失。大オルガンは火災による被害は免れたものの、すすや埃のため、また大聖堂そのものの修復作業のため、演奏ができない状態で、大規模な修復が必要とされています。8月から始まった今回のパイプの解体作業はその修復の前段階で、移動が困難なためその場に残された正面のパイプや約30本の木製パイプ以外の、全てのパイプが取り外されました。(オルガン製作者オリヴィエ・シュヴロン氏は、上のツイッターでのコメントで、「正面のパイプには音を出す他に外観的な役割もあり、取り外しによって見た目が損なわれたり変更されることを避けなければならない」と語っています。)取り外し作業は来年2021年2月までの予定でしたが、このほど2ヶ月も早く、12月9日に全行程が終了しました。これらのパイプはまず事前清浄されてから特注の箱に入れられ本格的な修復作業を待つことになります。パイプの取り外しには11ものオルガン製作社が取り組んだということです。

修復の終了後、パイプは徐々に元の位置に再び取り付けられます。設置が終わってから調整に6ヶ月を必要としますが、上のビデオで楽器学の専門家、クリスティアン・リューズ氏が語っているように、その作業は騒音や雑音を避けて夜中に行われます。2014年に行われた大規模な調整作業も、深夜に行われました。再び楽器の音を聞けるのは、火災からちょうど5年後の2024年4月16日の予定です。

パイプの取り外しが終わった2020年12月9日、関係者が記念撮影 © David Bordes Etablissement public charge de la restauration de Notre Dame

タイトル写真 © Stephane de Sakutin POOL/AFP

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