今年2022年はモリエール生誕400年。政府主導の公式行事の他、私立劇場などが独自にプロデュースする演劇も多く、フランス全土の舞台で賑わいを見せている。 年頭から各地を巡回しているヴァンサン・タヴェルニエ Vincent Tavernier の演出の3作品もその一環で上演されており、3月末にはランス・オペラ Opéra de Reims にやってきた。そのうち『シチリア人、あるいは恋する画家 Le Sicilien ou l’Amour Peintre』と『強制結婚 Le Mariage forcé』を観た。3作目の『病は気から Le malade imaginaire』はランスでは上記2作の2週間ほど前に上演されていたが日程が合わず、4月に入ってからリール郊外のトゥルコワンで観た。 (注意!じっくり読みたい人向けの長文レヴューです。) ***** 『シチリア人、あるいは恋する画家 Le Sicilien ou l’Amour Peintre』、『強制結婚 Le Mariage forcé』、『病は気から Le malade imaginaire』の3作はいずれも、演劇はレ・マラン・プレジール劇団 Les Malins Plaisirs、オーケストラはエルヴェ・ニケ Hervé Niquet 率いるル・コンセール・スピリテュエル…
Centre de Musique Baroque de Versailles
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本日11月12日から、ヴェルサイユ・バロック音楽センター(Centre de Musique Baroque de Versailles, CMBV)がポッドキャスト「expodcast.cmbv.fr」の配信を開始した。 予告ビデオはこちら。 Expodcastという名前はexposition (展覧会)とpodcast(ポッドキャスト)を組み合わせたもの。単なるオーディオだけでなく、各回に専用のウェブサイトがあり、王とヴェルサイユ王室礼拝堂を紹介するオンライン展覧会だ。 ウェブページには豊富な資料とともに豆知識が簡単な文章で短く綴られ、音声の合間に入る音楽を聞きながら読めるようになっている。カーソルを移動させたり携帯を動かしたりすることで画像が現れるものや、360度どこからでも見られるパノラマ写真など、資料の紹介方法にも趣向が凝らされている。 今回一挙に配信された6回分の内容は、 第1回「王の音楽の宝庫 王室礼拝堂」 第2回「太陽王の日課ミサ」 第3回「1683年の音楽コンクール」 第4回「フランスバロック音楽の精髄、大合唱団のためのモテ」 第5回「大楽長ラランド」 第6回「王室礼拝堂の栄華とその後」 毎回のポッドキャストは2部または3部構成となっており、各部の終わりには、さらに内容を深く知りたい人のためにインタビューや演奏の動画もある。 誰でも手軽に聞いて見られるように、それぞれの回はあえて短く8分から12分。 ウェブサイトは白を基調にしたシンプルで洗練されたデザインで見やすく、宮殿の広いスペースを想起させる。 数年前から懸案だったこのプロジェクトは、春のロックダウンを機会に一気に具体化し、6ヶ月を経て2度目のロックダウン中に実現。逆境を見事に跳ね返した好例だ。 ポッドキャストおよびウェブサイトは仏語版と英語版がある。(クリックで拡大) ウェビナーで行われた記者会見で、「ポッドキャストを聞くのに、バロック音楽やヴェルサイユの歴史などに関する特別な知識は必要ですか」という問いに対して、CMVBの所長でオルガニストのニコラ・ブーシェ氏いわく、「ヴェルサイユがどういう場所でルイ14世が誰だったかを漠然とでも知っていれば、誰でも楽しめます」とのこと。 今後も毎年新しいものを配信していく予定だそうだ。 キャプチャ写真 © expodcast.cmbv.fr