パリにまたひとつ、新しいホールがオープンしました。
ラ・スカラ・パリ La Scala Paris の地階にできた150席の「ピッコラ・スカラ」です。
ラ・スカラ・パリは、10区のストラスブール・サン・ドニ界隈に2018年秋にオープンした新しいホール。演目によって舞台・客席配置を自由に変更することができる500席のモジュール型ホールです。70以上の小型アンプを会場全体に配置した最新の音響施設を備えており、現代音楽にはうってつけ。しかしホールは音楽だけでなく、従来のスタイルにとらわれない演劇やショーなども上演し、開場以来、人気を博してきました。
この場所には1873年にカフェ・コンセールが建設され、20世紀初めのベル・エポックの時代には一斉を風靡しました。ミラノのスカラ座を模した馬蹄型の1400席の大ホールは当時のセレブリティや「パリのお歴々」が集う社交の場で、当時流行していたレヴューや、イヴェット・ギルベール、ミスタンゲット、ドラネムなどの大スターのショーが舞台にかけられていました。1936年には1200席を擁するアール・デコ調の美しい映画館として生まれ変わり、ジャック・タティ、ジャン=リュック・ゴダールなどの名作が上映されますが、その後1977年にパリで最大のポルノ劇場となり、1999年には閉鎖。廃墟化していた劇場を2016年にビエシー夫妻が購入し、私財をつぎ込んで現在のホールとなりました。
その「スカラ」の地階に10月13日、小ホールがオープン。その名もピッコラ・スカラ Piccolo Scala。オープニングコンサートは、将来を期待される若手ジョスカン・オタル Josquin Otal のピアノリサイタルで、こういうプログラムでした。
この小ホールは150席で、もともと設計図にあったものですが、これまではリハーサル室として使用されてきました。今回、入念な音響設計を実現し、ホールとして正式にオープン。客席は半円形階段状で、どの席からでも最高の音質が味わえるようになっています。
プログラムは若手アーティストたちのクリエーション活動を重点としており、毎月13日には期待の若手ピアニストによるリサイタルが組まれています。先述したオタルのリサイタルも、この一環として行われたものです。
パートナーのヤマハは、このホールの音響を最大限に活用できる特別仕様のグランドピアノを製作したということです。
その他、俳優や作家による朗読会などの文学の集い、サーカス、パフォーマンス、討論会など意欲的なラインナップとなっています。
12月以降のプログラムは以下の通り。
音楽
ダンスパフォーマンスではフランスで活躍し評価も高い日本人のダンサー兼振付家、カオリ・イトーが登場
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新型コロナウィルスによって困難にさらされているアート・音楽業界に、新たな希望を送る場となることが期待されます。