Accueil レヴューデジタル  アベル・ガンスの超大作映画『ナポレオン』修復、ネットフリックスがメセナに

アベル・ガンスの超大作映画『ナポレオン』修復、ネットフリックスがメセナに

par Victoria Okada

アベル・ガンス Abel Gance の『ナポレオン』(1927年)といえば、全4編の上映時間が12時間に及び、最後のクライマックス場面には3面のスクリーンに映し出す技法でパノラミックな効果を狙ったことで有名な超大作。また初めてカメラを馬や自動車に積んで臨場感あふれるダイナミックな情景を撮影。まだ白黒ばかりだった時代に、独自の色彩技法を取り入れてカラーを実現したことでも知られています。

(下の二つは、クライマックスの3面投影の様子。オーケストラピットでオーケストラが演奏しているのがわかります。当時は劇場をそのまま映画館に転用したものが多く、このような映画館は1960〜70年代ごろまで存続していました。)

ガンス自身がいくつものバージョンを公開し、その後何度も行われた修復作業も加わって、全部で20バージョン、またはそれ以上あることが報告されており、これらを整理するために2008年から一般公開がストップされていました。それ以降、フランス全土および世界に存在する『ナポレオン』を詳細に調べて、何度も上演講演会や研究会が開かれてきました。

(カール・デーヴィスの新サウンドトラックで2016年にBFIが発表した修復版 DVD / Blue Ray の予告動画)

1月15日付の国立映画・動画センターの記事によると、ネットフリックスは、すでに始められているこの『ナポレオン』の全面的な修復に、メセナとなって参画することになったそうです。これを機にネットフリックスは「フランスと世界の映画遺産の保存と振興に貢献」したいとしています。

この映画は、2000年代に一度、パリのサル・プレイエルで2日間にわたって完全上演会が開催されたことがあります。確か開演が14時ごろで休憩を挟んで21時ごろ終了だったと覚えています。当時、部分的にかなり傷んでいたオリジナルフィルムが修復され、それを記念しての全編上映だったと記憶しています。空白を埋めて、または故意に埋めずに修復したのが明白な部分もあり、それはそれで歴史を感じさせる上映会でした。シテ・ド・ラ・ミュジック(現在はフィルハーモニーの一部となっています)主催で、小オーケストラ風のアンサンブルが、委嘱された作曲作品を同時に演奏するシネコンサートでした。12時間の歴史的映画を一挙上映するということで、年間プログラムが発表されるやチケットを予約し、両日、いそいそと出かけて行って見た覚えがあります。

ちなみにサル・プレイエルは20世紀にはパリの有数なクラシックホールで、1990年にシテ・ド・ラ・ミュジックができてからはこれに吸収されていましたが、フィルハーモニーのオープンとともに別会社となり、おまけにここではクラシック音楽は演奏してはいけないなどという不可思議な条件がついています。

写真 © DVD専門サイト DVD Klassik の関連記事キャプチャ

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