Accueil 仏・欧州音楽事情 アマーティ製のバスヴァイオリンがパリ音楽博物館に

アマーティ製のバスヴァイオリンがパリ音楽博物館に

par Victoria Okada

パリ音楽博物館 はこのほどアンドレア・アマーティ作のバスヴァイオリン  (クレモナ、 1572年) をコレクションに加えました。


キュレーターのジャン=フィリップ・エシャール氏は、紹介のビデオで次のように説明しています。

Basse de violon Amati © Claude Germain photographe

ストラディヴァリウスに代表されるイタリアの弦楽器製作の最盛期から遡ること1世紀、このバスヴァイオリンは、現在では消滅してしまった楽器を物語る貴重な例です。

バスヴァイオリンは、16世紀半ばのフランスで、ヴァイオリン属でもっとも音域が低い楽器として普及していました。その音域は現在のチェロとコントラバスの中間にあたります。

このアマーティの裏板には美しい装飾が施されています。フランス王シャルル9世(在位1560年〜1574年)のモノグラムが数カ所に見られるほか、天使が王冠を支え持ち、その下には王のモットーである「憐れみ」と「正義」を表す柱頭が描かれています。この装飾画から、この楽器が王が主催する祝祭で奏でられる音楽と密接に関わっていることがみてとれます。

署名(紹介ビデオキャプチャ)

 

装飾画部分(紹介ビデオキャプチャ)

エシャール氏は、今回コレクションに入ったバスヴァイオリンは、イタリアの弦楽器製作の初期の傑作であると同時に、フランス王の宮廷で弦楽オーケストラが興隆していたことを物語っていると語り、紹介を締めくくっています。

 

楽器博物館は、フランス文化省の特別支援を受けると同時にメセナや個人からの寄付を得て、このバスヴァイオリンを2020年8月に購入しました。楽器は博物館の17世紀展示室「オペラの誕生」のコーナーで見ることができます。

楽器博物館の展示室に展示されたアマーティのバスヴァイオリン(紹介ビデオキャプチャ)

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