新型コロナウィルス対策で閉館中、オルセー美術館は1週間に2回ほどの割合で動画を配信。2つのシリーズがあり、Le musée s’invite chez vous (おうちで美術館)と Nos expositions chez vous(おうちで展覧会)。どちらも「visite privée プライベート見学」と銘打って、オルセーとオランジュリー美術館*の多角的な紹介と、最近の展覧会の親しみやすい解説を展開している。 Le musée s’invite chez vous では、5月7日配信の第8回で、駅から美術館までの変遷を3D動画で紹介する。 毎年5月1日にベルリンフィルが世界の名勝地で行なっているコンサートに、2019年にオルセー美術館が選ばれた。コンサート1周年を記念して、バリトン・バスのブリン・ターフェルが歌う部分が4月28日に配信された。指揮はこれまでパリ管弦楽団の音楽監督だったダニエル・ハーディング。 Nos expositions chez vousの第1回は、ロックダウン前にオープンし、当初6月に終了するところを9月13日まで延長して開催されるレオポル・ショヴォー Léopold Chauveau 展を取り上げている。ショヴォー(1870-1940)は、自分の子供達のためにモンスターを想像し、お話まで作っている。 3月9日のプレス内覧会で撮影した写真はこちら。(クリックすると拡大します) ショヴォー展の紹介動画 ユーモラスなショヴォーの怪物たちにインスピレーションを受けて、イメージ画(アニメも含む)の専門学校ゴブラン学校の生徒が制作したアニメーションを紹介している。(専用ページはこちら) *オルセー美術館とオランジュリー美術館は同一の美術機関として機能している。 レオポル・ショヴォー Léopold Chauveau 展 オルセー美術館 午前9時30分〜午後6時、木曜日午後9時45分まで(入館は閉館の1時間半前までが望ましい) 14€ 衛生対策に対応するため、入館時間帯を指定してオンラインでチケットを購入する。11歳以上はマスク着用のこと。 Photos : トップ写真 …
ダニエル・ハーディング
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フランスとフランス語圏のオペラファンに最も読まれているオペラ専門サイト、「フォーラム・オペラ Forum Opéra」。フランス全国は言うに及ばず、ヨーロッパ各地で上演されているオペラの批評を網羅し、時にはヨーロッパ以外のオペラハウスでの公演もレポートしている。レヴューの大多数はプルミエを扱ったもので、翌朝7時には出ている。12月のパリでのある公演はなんと上演後の深夜1時にレヴューが載っていた。恐るべき速さだ。執筆陣はその道の通ばかりで、記事は詳細におよび、良い批評を得ると、歌手たちはもちろん、指揮者やオーケストラ、そして劇場までもこぞってネット上にシェアするという、人気と権威を誇るサイトだ。 「フォーラム・オペラ」は、年末にその年のアーティストなどを分野ごとに選んでいる。それも、100%読者の投票によるセレクションで、得票のパーセンテージも同時に発表される。つまり人気投票でもあるわけだ。メジャーレーベルの影響などを大なり小なり受けている伝統的な雑誌のランキングとは異なる、ファン主体の「本音」を垣間見ることができる。 2019年のベスト・アーティストが今日(2020年1月2日)発表された。日本ではほとんど馴染みのない名前や作品もあるかもしれないが、ヨーロッパでは皆実力派として知られた、または上昇中の歌手や、話題をさらった作品ばかり。現在の、主にフランスでのオペラの動向を知る上での興味深い結果となっている。 ラインナップは次の通り(コメントは筆者)。サイトの該当ページはこちら。 女声歌手 1位 プリティ・イェンデ Pretty Yende (34,1%) 2位 カリーヌ・デエ Karine Deshayes (28,3%) 3位 ヴァニナ・サントニ Vannina Santoni (14,4%) 4位 ガエル・アルケーズ Gaëlle Arquez (12,1%) 5位 マリナ・レベカ Marina Rebeka (11,1%) 1位のプリティ・イェンデは1985年南アフリカ生まれのソプラノ。スカラ座の声楽アカデミーで学び、2011年にドミンゴ主催のオペラリア・コンクールで優勝。2013年にメトロポリタン・オペラにフアン・ディエコ・フローレスのパートナーとしてデビューして急上昇した。ソニーからアルバムを2枚リリースしている。5位中、2位から4位の3人がフランス人。カリーヌ・デエはコロラトゥーラ・メゾでロッシーニなどが得意。ヴァニナ・サントニは、最近では12月にシャンゼリゼ劇場で、映画監督のジェームズ・グレイが演出して話題になった『フィガロの結婚』で伯爵夫人を歌って喝采を得た。ガエル・アルケーズは、フランスでのバロック音楽の再興のメッカと謳われたサント(夏にバロックを中心とした音楽祭が開かれている)で生まれ、アフリカのコートジボワールで育ったメゾ。5位のマリナ・レベカはリガ生まれのソプラノで、ローマのサンタ・チェチーリア音楽院で学んでいる。待望のパリ初の単独リサイタルが昨秋行われ、ファンをうならせた。 La Traviata (G. Verdi) – « Un di, felice, eterea » (Pretty Yende & Benjamin Bernheim), Opéra…